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【実践企業紹介】小さな会社のイノベーションのヒント

 予期せぬ顧客の声に、自社の強みを見出す

(有)オートボディーツタ 津田尚幸社長

 

物語①:“自惚れ”ではない“自社の強み”を見つける

卓越性の定義を頻繁に変えることはできない。それはすでに、かなりの程度、従業員とその価値観、行動に体現されているからである。

創造する経営者 p.266

 

(有)オートボディーツタ(岐阜県高山市)はスタッフ4人の、いわゆるマチの自動車修理工場です。
創業は平成9年。板金・塗装・修理を行い、地元に密着して営業してきました。

社長の津田尚幸さんは、ドラッカー読者会へ参加して3年ほど。
ファシリテータである友人の名節さんを高山に招いて自ら読書会を主催したそうです。
あるとき、読書会の中で、「強み」に関する章になったとき、自社の「強み」は何か?というお話になりました。

自動車修理工場のメインの仕事は板金加工です。
ぶつけたり凹んだりした車のボディを、いかにその形跡を残さずに修理することができるか。
ここが職人の腕の見せどころ。
スタッフもその仕上がりに腕を振るい、その出来に真剣に取り組んでいます。
だから、「ウチは板金の仕上がりの美しさがウリだ」とずっと考えていました。

しかし、そ14171951_1113669442053119_1974351109_nんなお話をしたところ・・・
顧客の立場からすれば、むしろプロだから「仕上がりが美しいのは当然だ」と言われました。

「どの会社も自分のところが美しいと言う。技術の高さをアピールされる。
でも、私たち(顧客の側)からすると、
『あそこは板金が上手いから修理に出したんだ』という話にはならないと思う。」

そう言われて、津田さんは考えました。

自分の会社のウリはなんだろうか?
同業他社と差別化できる部分には何があるのだろうか?
こだわってやりつづけていることはなんだろうか?

自社の強みについて、津田さんは徹底的に考えたそうです。
そうして・・

「何度も失敗しては研究しつづけていることはなんですか?」

という名節さん(ファシリテータ)からの問いに、思いを巡らせました。

・・・その結果出てきたことは「サビ」に関することでした。

飛騨地方は冬になると融雪剤を大量に道路に撒くエリア。
車の足回りはすぐにサビになるという状況にありました。
この、サビを落したり、防サビ加工の分野に関しては、これまで、ずっと長い間取り組んできたことでした。
つまり、サビに関するノウハウが同社には蓄積されていました。

そのサビ対策こそが自社の強みではないか?
そう思って情報発信を始めたところ、ある時、地元の工場から建物に関するサビの案件が舞い込みました。
車に関するサビならぬ、建物に関するサビをとり、サビ防止の加工をするというオーダー。

依頼主は「工場などの水回り設備においても、錆を防ぎ、老朽化を防いでいくことは大きな課題だ。この自動車への錆防止のの技術は充分に応用できる。」という反応でした。
まったく予期しない意外な分野での売上が立ち始めました。売上シェアからすれば、まだまだ、大きな柱にまではありませんが、新分野に期待ができます。

Q:あなたの会社で、何度失敗しても研究し続けたことは何ですか?

 

オートボディーツタ外観

 

物語②:“お客様にとっての価値”は、聴かなきゃわからない。

意味を持つのは、顧客のほうの知覚である。買うか買わないか、いかなるときに買うかを決めるのは消費者の知覚である。

創造する経営者 p.136

自動車修理の業界では、今、逆風が吹いています。

人口減少に伴い、車の利用自体が減っていることに加え、
都市部など公共交通の発達している地域を中心に、若者が運転免許を持たないという傾向も強まっています。
また、多少のキズやヘコミについては修理をしない人が増えているそうです。
以前ほど、車が高級品のステータスシンボルではなくなり、大衆商品となったため、
大切にしなくなったという認識の変化があるようです。
さらにいえば、ABSや衝突被害軽減ブレーキなど、事故防止のアシスト技術の発達により、
車自体がぶつかりにくくなった、という技術の変化があります。
さまざまな要素が絡み合い、需要と客単価は減り続けるというのがこの業界の逆風の正体です。
サビという新たなジャンルで、自社の強みを新たに発見したオートボディーツタ。
このサビに関する技術で、どんな顧客にどんな貢献をするか?次第で今後の展開が変わってくる、と言えそうです。

オートボディーツタ底のコーティングある時・・・ご年配のお客様から「フルスペックの防サビをして欲しい」という注文を受けました。
これは、すでについたサビを徹底的に取り除き、ゴム系の特殊な防サビ塗料を車の下回りに塗る、
というものですが、当社では最高レベルのもの(30〜40万円)をオーダーされたのです。
しかし、その方の車は、一般的にいう高級車ではない・・・。

津田社長はお客様に尋ねました。
「普段はここまで気にしない方が大半なのですが、
この車に、どんな思い出や思い入れがあるのですか?」

帰ってきた答えは・・・
「きっと、この車が、私の『終(つい)の車』になるから」というものでした。

“終の住処(ついのすみか)”はよく聞かれることばですが、「終(つい)の車」という考え方は初めて聞く概念。

それは、「もう車を買い換えることはない。買い換えずに済ませたい。」という覚悟。
確かに、年齢を重ねると、操作ミスの原因となる車の買い替えは避けたいもの。
ですから、乗り換えしないで済むように、お金をかけてでも大切に乗り続けたいというニーズがあったのです。

予期せぬ顧客が目の前に現れた瞬間でした。

 

卓越性を獲得すべき知識を「サビ」と特定し、自社がリーダーシップを獲得すべき市場を「終の車」と「寒冷地にある建物」と設定する。ここからが新たな同社の軸となり、次の展開と今後の成果が期待されています。

Q:顧客のオーダーを意外に思ったとき、顧客に寄り添って顧客の声を聞いていますか?

 

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