現場が動き始める目標
***(ドラッカーの言葉)***
あらゆる目標が、
成果についての目標でなければならない。
その目指すところは、
意図することではなく行動することにある。
(マネジメント(上)
第9章目標の設定とその実行)
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私たちは、目標の設定に慣れていない。
そんなことを時々思います。
多くの会社での目標は、
前年対比 何%という形。
では、その意味するところは?
その目標はどんなメッセージを発しているのか?
とたずねれば戸惑う方がほとんどです。
おそらくは
「去年より頑張れ。」
程度のメッセージではないでしょうか?
これは、経営層の怠慢かもしれません。
「前年対比110%の売上げ」
を恒例の事業目標にするのは、
財務的な側面としては間違っていないかも知れませんが、
現場には、頑張れというメッセージしか伝わりません。
しかも、恒例になっていると・・
「売上げをあげすぎないようにする」という力が働きます。
なぜなら、今年110%を達成してしまったら、
来年は「一昨年対比」121%に
再来年は「2年前対比」133%
その次は「3年前対比」146%
そのまた次は「4年前対比」161%。
ならば、
「どこかで一度目標未達の期をつくらないと、
身体が持たない。
今年にしようか?来年にしようか?」
そんな思いを持つのが現場ではないでしょうか?
では、たとえば・・
事業Aは 前年対比 80%の粗利確保
事業Bは 前年対比 150%の売上高
事業Cは お試し利用 300件
ただし 3年後は、当社の売上げの20%のシェア
なんて決めた場合にはどんなメッセージが伝わるでしょうか?
イメージとしては、
事業Aの売り上げは、
この分野での新規客は、他社が撤退したときくらいしか望めない。
ならば、撤退する情報をいち早くつかむとともに、
既存客の利用状況や業績に注意しながら
せめて20%程度の落ち込みに抑えたい。
事業Bは、いま成長している事業だが、
そのスピードは未だ緩やか。
これまでの主力だった事業Aが20%落ち込むとすれば、
それをカバーするだけの収益は確保したい。
知恵を絞って、これまでとは違うアプローチをしてほしい。
事業Cは、始まったばかりの事業。
将来は、この領域から大きな収益を確保したい。
だが、今はテストマーケティングの段階。
テストマーケティングに主眼を置くが、
それは、3年後には十分な業績への貢献を担保したものにする。
こんな感じでしょうか?
財務上の目標と
現場での活動との橋渡しをするツールであることが
目標のあり方のひとつ。
でも、その目標は試行錯誤になるはずです。
現場での思考や行動が変わらない限り、
理論的に正しかったとしても、
決して成果を生まないツールだからです。
これまでの私の経験では、
目標設定に慣れていない私たちは、
効果的な目標が設定できるまでに、
最低5回は再設定をしています。
あなたの会社の目標は、
現場が動きはじめる目標になっていますか?
***(今日の質問)***
Q:財務上の観点以外の目標は設定されていますか?
Q:現場でのどんな活動の量が増えれば
目指す成果につながりですか?
Q:現場での活動の質と量を計る指標はありますか?