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【実践企業紹介】伊藤美藝社製版所さま

<<次世代マネージャを発掘する>>

自らの仕事の設計に参画すること以外にも、マネジメント的な視点を獲得する方法はある。マネジメントの実際の経験を得させる方法の一つとして、職場コミュニティでリーダーシップを発揮させることである。

(『現代の経営(下)』p.170)

 

 

名古屋に本社がある(株)伊藤美藝社製版所は昭和39年に設立。その社名が表すように印刷の元となる製版事業を中心に地域に貢献してきた企業です。創業時は銅の彫版を作っていた会社が、現在では、総合カラー写真製版と各種メディア制作を事業内容とし、東京支店と小牧工場があります。

企業理念は「伝える心を、伝わる力に」。

デザイナーや商品そのものの、質感や色彩へのこだわりを伝えるという製版時代以来の文化を守りつつ、時代の変遷にともなうさまざまなメディアに対応して、現在は、印刷のみならず、特殊出力やホームページ制作などにも取り組んできました。社員数は80名です。

 

①社内組織の名称を見直す

最初の取り組みは、社内組織の名称を見直すことから始まりました。
そのヒントとなったのは、全国的に有名になった旭山動物園での、「飼育係」の名称を「展示係」としたところから働く人の意識が変わったと言うエピソードです。
それまでの社内部門の名称を、顧客視点から自分たちの仕事の意味を表現する名前に変更したのです。

具体的には、「デザインや情報が既に確定しているものを、実物の質感やデザイナーのこだわりにフィットさせるという仕事」をしていた、営業部・製版課・インクジェット課を一つに統合し、『プリンティングディレクション部』とし、逆に、「お客様と相談しあいながらどんな情報をどんな形で発信するのかも一緒につくりこんでいく仕事」をしていたデザイン課やWebチームなどを統合して『コミュニケーション・デザイン課』としました。
ちなみに、総務経理も、『幸方支援(こうほうしえん)部』という名称にして、それぞれが行うべき仕事を明確にしました。
「名称の変更後、いずれの部門も仕事ぶりが変わり始めた。」と社長。「中でも、幸方支援部は、仕事を見る視野が広がったのではないかと思う。“ここまでやってあげた方が良いのではないか?”といった提案がスタッフから行われるのを感じている。」

②社員の等級についての見直し

同時に、見直したのは社内の等級制度です。従来は、社員の等級と部長・課長・主任といった役職が連動している傾向があり、そのために「課長なのに、自分の仕事ばかりで、部下の養成をしていない」という人物が問題視される面がありました。一方で、社員のベテラン化が進むにつれて、部下を持たない役職者が多数生まれることになり、役職が形骸化しつつありました。

そこで、社員の等級を「マネジメント職」と「エース職」という2つのコースに変えました。技術や技能に秀でているが、チームマネジメントは苦手というスタッフにも、プロフェッショナルの新たな生き方が生まれる一方、「マネジャーは、トッププレイヤーでなければならない。」という遵守が困難な不文律も消えました。

 

③マネジメント人材発掘の場をつくる

多くの会社では、「地位が人を育てるから」という理由で、役職を功労の報奨として与える慣行があります。ところが最近は、「役職者じゃないから責任を負えません。」という発言をする人物に役職をつけても、マネジメントとして機能しない。だからといって、一度つけた役職を外す一方で、高度成長のような成長がない時代において、報償としてのポストが足らなくなり、まるで“社内ポストのインフレ状態”になっている、というのもよく聞くお話です。
このような状態に陥ると、「地位が人を育てる」という法則も機能せず、マネジメント人材としての自覚そのものが芽生えないままに組織が混乱するケースも多く見られるところです。
当社でも、こうしたコース分けをしたところ、新たな課題が明らかになりました。マネジメントができる人材の不足です。

そこで実施したのが「委員会活動」という取り組みです。これは、3つの委員会、職場環境活性化委員会、業務改善委員会、広報委員会と、ビジネスコンテストプロジェクトの4つがあります。いずれも、部門間の垣根をこえたメンバーで構成され、本来の所属部門での仕事に加えて、それぞれの属する委員会のために月に数回のミーティングをしながら活動しています。
この委員会活動では、社長をはじめとする経営陣が細部にわたって決めてきたことが、社員の側に決定権が移ります。

例えば、『職場環境活性化委員会』では、社員の親睦活動や「サンクスカード」をつくって、スタッフ同士へ感謝の気持ちを文字で表現して貼り出しています。また、創業以来行ってきた、スタッフの誕生日とX’masに贈るプレゼントや結婚記念日の花束、年末の忘年会などスタッフ相互を慰労する活動は、社員が日々、生き生きと働いて成果をあげてもらいたいという社長の想いから始まったものは、この委員会のメンバーが「楽しみながら考える」ようになった結果、昨年末の忘年会は、強制参加ではないのにもかかわらず、スタッフの95%が参加する盛り上がりだったそうです。「お客様であれ、共に働く仲間であれ、“誰かを喜ばせようと考えて、楽みながら徹底して考える”という当社の文化をこの委員会が創ってくれている」と、社長は、顔をほころばせながら忘年会で起こったことを話してくださいました。

『広報委員会』は文字どおり社内外へ情報発信。各種取り組みや実績をホームページやSNS、インスタグラムなどを使って発信しています。自分たちが取り組んだ作品を外に向かって発信することは、仕事の受注のためだけでなく、仲間の仕事への尊敬や、自分の仕事の誇りを高めあうための重要な場となっています。

『ビジネスコンテストプロジェクト』(INCO)は、学生やクリエイターとコラボレーションして、特殊技術を用いたインクジェット出力による新たな表現手法を開発する目的のコンテストです。今年初めて当社で企画して行ったボランティア型のイベントですが、将来のデザイナーの自己表現の場を提供することで、「こだわりあるデザイナーに名指しされる企業でありたい」という当社の思いの表れです。

 

『業務改善委員会』では、ミスやロスを改善するアイデアに限らず、ちょっとしたアイデアの「アイデアカード」、近くの人をみんなでマネしたい出来事の「成功体験カード」、改善というほどではないけれど・・という「樹になるカード」とネーミングされたメモを張って実行しています。

こうした委員会制度による社内プロジェクトを運用することで、社内の雰囲気が以前とは異なり、明るくなりました。それまでは、経緯を知らぬまま、決定事項にただ従うだけだった会社運営から、スタッフ自らが考え、議論し、アイデアを出していく職場へ。職場環境がどんどん良くなり、業務改善も小さなことが積み重なり、本業の業績も上がっていきます。
この効果はもちろんですが、もう一方の側面として、次の役職者を養成する場としてもこの委員会が役に立っているそうです。
委員会メンバーをまとめ、やる気にさせ、議論し実行に移す。小さなプロジェクトとはいえ、その運営はまさにマネージャの役割の“先取り”です。マネ-ジャという役職を付与する以前に、その資質のかけらをひろいあげる機会がこうしてうまれました。リーダーとしての経験を積んだ人材こそが将来のマネジメント人材として活躍するはずです。

 

職場でリーダー的な存在となり尊敬を集める資質が、経営管理者への昇進に必要な資質と同じであるとは限らない。ただし、企業が認知し、報奨を与えることができる方法は通常昇進だけである。ところが、いかに昇進のポストがあったとしても、またいかに昇進制度が公正であったとしても、職場において広く尊敬されているリーダーの何人かは昇進できないことがある。その場合、そのような人たちはやがて失望し、まさに自らのもつリーダーシップの資質ゆえに、マネジメントに対抗する立場に追いやられることがある。

(『現代の経営(下)』p170)

 

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