頭大仏の法則 ~イノベーションの前に~
みなさま、お盆休みはいかがお過ごしだったでしょうか?
私は、家族と温泉一泊旅行の帰りに
一昨年に他界した家内の父親のお墓にお参りに行ってきました。
その帰り・・
前々から気になっていた「頭大仏」を見てきました。
***(ドラッカー教授の言葉)***
新しいものを始めるにあたっては、
誰もが犯しやすいいくつかの間違いに気をつけなければならない。
(中略)
もう一つが、自ら調べることをせずに、
誰もが知っているとされていることを真に受けることである。
(中略)誰もが知っていることをいっているだけの者は姿を消していく。
実際に見て試さなければならない。
試してみれば20年前のものであることはすぐに明らかになる。
(「非営利組織の経営」
第2部 マーケティング、イノベーション、資金源開拓 p.80)
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この通称「頭大仏」ですが、
もともと札幌の「真駒内瀧野霊園」にあった石の造形物の一つ。
(ほかに、モアイ像やら、ストーンヘンジやストーンサークルなどがあります)
この大仏が遠くからでも見える座像だったものに、
2016年に建築家の安藤忠雄さんが大仏殿を設計し、
遠くからは中央の穴から突き出した「頭頂部」しか見えない形にしたもの。
当時の安藤忠雄さんのインタビューを見た記憶があるのですが、
野ざらしの大仏像を遠くから見てもありがたみを感じない。
東大寺の大仏殿のように、見えないまま近づいて、
見えた時には仰ぎ見るようなつくりの大仏殿が必要だ。
でも全く見えないのも興味をそそらないので、
頭頂部だけ見せる・・・。
そんな大仏殿を設計した。
そんなお話でした。
このお話自体が、すでに在ったものに
価値を加えるイノベーションなのですが、
いままさに頭大仏は、観光の名所になっていて
とくにラベンダーの時期は、なかなかの圧巻です。
さて、解説はこのくらいにして・・・
私も家内も、このお話は「知って」いました。
大仏殿の遠景から見える大仏の「頭頂部」も何度も見ていました。
でも、わざわざ車を停めて、大仏殿の中まで見に行きませんでした。
どんなふうに見えるかは写真で確認していました。
でも、行ってみると、
「トンネルを抜けた時に、視界いっぱいに広がる大仏」
という感覚を、子供たちの反応で改めて感心したり、
見上げるショットで大仏像をバックに記念写真を撮っている人たちや
外国人の来訪が多いことに驚いたり。
今日のお話は、
たかが観光名所のお話かもしれませんが
お仕事に関係していることでも、きっとあるはずです。
「”知っている”つもりになっているもの」
・・実際には体験していないのに、
情報をあつめて体験したつもりになっているもの。
それが、誤った判断を誘発するかもしれません。
気になる場所には、実際に行ってみる。
それが、新しいことを始める前、
イノベーションを起こす前の鉄則。
そんな教訓でした。
***(今日の質問)***
Q:情報を集めてわかったつもりになっているものはありますか?
Q:本当は「実際に体験したほうがよい」と気になっているものはありますか?